社内公募は人事制度のひとつで社員のやりがいにつなげるためやモチベーションを高めるための施策です。従来の会社から命じられる配置転換とは異なり、自ら志願した部署へ異動できる可能性があります。会社内での異動となり、別会社に籍を変える転職より敷居が低いですが、様々なメリットとデメリットがあります。
社内公募を考えている時点で何かしらの理由で現在の部署から離れたいと考えていると思いますが、あなたが部署を変更したい理由によっては社内公募での異動では解決しないこともあります。
本記事では社内公募制度のメリットとデメリットについて経験者が解説します。
社内公募について
一般的には社内の各部署が組み込みソフトウェアの経験がある人、AI・機械学習に興味がある方、役職は係長以下などといった人材条件を挙げます。その募集に対して、興味がある社員が応募して募集部署での選考にてマッチングすれば所属部署の上司の拒否権なしに異動となります。
多くの場合、現在の部署での在籍期間は3年以上、キャリアプランに異動の意思表示をしている等の応募条件があります。
基本的には公募への応募は募集部署と人事と本人のやり取りになりますので、応募したことや不合格だった場合は現在の所属部署の上司には連絡がいかないようになっています。
社内公募のメリット
働きたい部署を選べる
会社から与えられた役割とは異なり、自ら希望した職種に異動することになるため、仕事のやりがいにつながり、モチベーションを高めて働くことができます。
特に現在の仕事とは別にやりたい仕事がある場合には異動した方が高い水準のアウトプットを出すことが期待できるのであなたにとっても会社にとってもwin-winの関係になります。
また、従来の人事制度では自ら仕事を選ぶことはできなかったので、もし他の仕事をしたい場合は転職するしか手段がありませんでした。社内公募を利用すれば低リスクで仕事を変えることができます。
人間関係をリセットできる
現在の仕事で関りがない部署へ異動した場合、自分のことを知っている人間が少ないため新しく人間関係を構築することができます。
人間関係を理由に社内公募をすることはあまりおすすめできません。理由は社内公募を利用する社員は意識が高く行動力がある人間が多いです。そんなライバルたちと面接等で比較されたときに果たして勝つことができるのかと考えると難しく思えます。
それに人間関係はどこにでもつきものなので異動した部署で良好な人間関係が築けるとも限らないのでおまけ程度に考えるのが良いでしょう。
転職よりも敷居が低い
社内公募は転職と同じく書類選考と面接があるので準備が必要になる点は変わりません。会社内の部署に応募することになるのである程度勝手は分かっていますし、情報収集をし易いです。実際に私の場合は面接試験もかなりラフな感じでリラックスして受けることができました。
また、今の会社の給与水準や福利厚生等に満足しているのであれば経済面の心配はなく、安心して受けることができます。
社内公募のデメリット
出来レースで無駄骨を折る可能性がある
出来レースで始めから採用者が決まっているケースもあるようです。出来レースと聞くと聞こえがかなり悪いと思いますが、現実問題として採用する側の立場を考えると書類選考の書類なんて何とでも良いように書けてしまいますし、面接も1時間ほどではたいして分からないでしょう。
事前に関りがあったり、アプローチがあって話ができている等である程度欲しい人材にマッチしていることが分かっている人の方が良いに決まっていますので多少しょうがない部分もありますよね。勝負は公募が始まる前から始まっているということです。
上司にバレて不利益を被る可能性がある
一般的には採用されたときのみ上司に連絡がいきますが、公募を受けたことや不採用になったとしても連絡は行きません。しかし、周りに話して知らない間に上司の耳に入ってしまうことによって中には良く思わない上司もいるでしょう。
あなたがそのような上司の部下の場合は最悪ばれてしまって不利益を被る可能性があるので言動には細心の注意を払った方が賢明です。
人脈がリセットされる
何年か在籍した部署であれば周りとの信頼関係ができているため、気軽に分からないことを聞けたり、どんな人がどんな仕事をしているか把握できているので○○のことなら○○さんといった具合に知見がある人に話を聞いてもらうことができます。
新しい部署では分からないことも多くあるうえに1から人脈づくりをしなければならないため、最初は苦労することが多いでしょう。
社内公募と転職の比較
まず挙げられるのは社内公募であれば良くも悪くも給料や福利厚生が変わらない点は大きな違いでしょう。転職の場合はキャリアアップであれば給料が上がりますが、未経験の分野や業界に転職するケースでは給料が下がることがほとんどです。
会社の風土やルールなどについても同じ会社内であればほぼ同じなので安心できますが、転職ではそれが大きく異なる可能性があるので自分に合う合わないのリスクがあります。また、残業や出張が多い等の働き方が異なることで家族への負担が増えるケースもあり、不確定要素が多い点もリスクとして考えられます。
社内公募はこんな方におすすめ
現在の環境はなるべく変えたくないけど仕事を変えたいといった方には社内公募が適しているでしょう。社内公募では経済面の心配がない点や異動希望部署の情報が手に入りやすいので異動してからイメージと違ったということも発生しづらいと思います。
人事評価は引き継がれるので現在の会社で幅広い知見を身に付けて成長していきたいと考えている方には選択肢のひとつとしてありなのではないでしょうか。
まとめ
人間は変化を嫌う生き物なので社内公募という環境を変える行為をすることは勇気やパワーが必要です。しかし、何もしなければ何も変わらないまま・・・。
スペンサー・ジョンソンの名著「チーズはどこへ消えた?」にあるように、変化に対応して行動することの大切さが変動の目まぐるしい現代では大事だと感じます。
この記事を読んだ方がより良い未来につながる選択肢を選べることを祈っています。